シンガポールで10~12日に開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ対話)では、初日に首脳1人が招待されて行う基調講演を岸田文雄首相が務めた。ロシアによるウクライナ侵攻で地域の安保環境に注目が高まる中、日本がその立場と存在感をアピールした。中国の台頭を前に、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国などは、大国のパワーゲームに巻き込まれることへの警戒を強めている。米国がかつての影響力を失いつつあるなか、日本の役割は増している。
「ルールに基づく国際秩序はインド太平洋でも重要だ」。オースティン米国防長官は11日、同会議で演説し、台湾への軍事的圧力を強める中国を名指しで牽制(けんせい)しながら、ロシアによるウクライナ侵攻がアジアでも起こり得ると訴えた。
オースティン氏は、米ソ冷戦の緊張が高まっていた1962年7月にケネディ米大統領(当時)が独立記念日に行った演説も引用。「米国だけで行動してもできないが、他の自由諸国とともになら(世界での正義や安全保障の確立が)成し遂げられる」と連帯を訴えた。