女子ゴルフのアース・モンダミン・カップ最終日、9位で出た26歳の木村彩子が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算4アンダーの284でツアー初優勝を逆転で果たした。
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その瞬間、すでにホールアウトしていた木村はパッティングの練習場にいた。1打差で迫る最終組のささきが、最終18番でバーディーパットを外した。6打差からの逆転で初優勝。
「夢みたい。でも素直にうれしいです」
3年前から香川・高松にマンションを借り、元賞金女王・鈴木愛らを育てた南秀樹コーチに師事している。
今大会、木村に夢を運んできたのは連日吹き荒れた風だ。「高松の海辺のコースもすごく風が強い。対策はできていた」と風に負けない低い弾道で攻めた。
前半で2つのバーディー。11番(パー4)では、ピンまで25ヤードをピッチングウエッジでチップインバーディー。「あれで流れに乗れた」と、14番(パー5)でもバーディーを奪い首位に立った。
18歳のときプロテストに落ち、一時はプロの道を諦めかけた。ゴルフショップで時給1000円のアルバイトをするうちに再びゴルフ熱がよみがえった。そしてプロ転向8年目、通算160試合目の美酒である。
優勝賞金はツアー最高額の5400万円。愛用する高級外車よりも、さらに高い1台を買う予定だという。「また稼げば…」。木村が笑った。(清水満)