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『就職先は海上自衛隊 女性「士官候補生」誕生』 女子大生が自衛官になったら?

産経NF文庫『就職先は海上自衛隊 女性「士官候補生」誕生』
産経NF文庫『就職先は海上自衛隊 女性「士官候補生」誕生』

『就職先は海上自衛隊 女性「士官候補生」誕生』時武里帆著(産経NF文庫・924円)

本書は、海上自衛隊の女性艦長が主人公の小説を上梓した気鋭の作家が、小説の原点ともいえる自らの新人自衛官時代を描いたノンフィクションである。

著者は平成6年に明治大学を卒業し、旧海軍兵学校の伝統を受け継ぐ広島県江田島の海自幹部候補生学校に入校。1年間の厳しい教育・訓練を経て、女性自衛官として史上初めて遠洋練習航海(世界一周)に参加した。その後、練習艦勤務も経験した艦艇乗組女性自衛官の草分けの一人だ。

日本文学を学ぶ普通の女子大生だった著者が、卒業後の進路に悩んだ末、ひょんなことから飛び込んだ別世界―。本書では一挙手一投足すべてを厳しく指導される寮生活、手漕ぎボートの操作をはじめ男女区別の一切ないハードな訓練の日々が生き生きと描写されている。最大の山場は候補生全員参加の夏の伝統イベント、海上8マイル(約15キロ)遠泳だ。カナヅチだった著者の決死の努力は報われるのか⁉

今では女性艦長が次々と誕生しているが、著者が海自に入った当時は女性の護衛艦乗組員すら想像もできなかったという。女性初参加の遠洋航海を描く続巻が待ち遠しい。

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