ゲームで作業楽しく アマゾン、NPOなど続々導入

アマゾンジャパンの物流拠点に導入されている街づくりゲームの画面=兵庫県尼崎市
アマゾンジャパンの物流拠点に導入されている街づくりゲームの画面=兵庫県尼崎市

人を楽しませるゲームの仕組みを、仕事や社会貢献といったさまざまな分野に活用する「ゲーミフィケーション」が広がってきた。インターネット通販大手アマゾンジャパン(東京)は、作業の進捗(しんちょく)がポイントとして反映されるゲームを物流拠点に導入。作業の効率化を期待する。社会貢献型では3月、プレイすることで自治体のインフラ点検に市民が貢献できるスマートフォンゲームが公開された。

画面上に家や森を示すアイコンが並び、「建物には、次のものが必要です」という表示の下には必要な資材の情報。ヘルメットをかぶったキャラクターも表示され、施設の建設が進められている。

アマゾンが物流拠点に導入を進める「FCゲーム」の画面だ。

複数の従業員で協力して城と城下町を発展させる街づくりゲーム。従業員が仕事場で実際の作業を進めると、連動してゲーム内に自動的にポイントが加算される。従業員は仕事の合間にゲームを操作し、たまったポイントを使ってゲーム内の建物づくりなどを進められる。ゲームへの連続参加日数でもポイントがたまる。このほか、色々な種類のペットを育てるゲームが人気だ。

国内では令和2年から導入され、現在5カ所の物流拠点で活用されている。従業員からは「他の人と競うことで作業へのモチベーションが上がる」「マイペースに遊べる」と好評を博している。

スマートフォンアプリ「鉄とコンクリートの守り人」のプレイ画面
スマートフォンアプリ「鉄とコンクリートの守り人」のプレイ画面

ゲームと社会貢献を組み合わせ話題となっているのがスマホゲーム「鉄とコンクリートの守り人」だ。市民が各地にあるマンホールを撮影し、損傷状態などの情報や位置情報とともに投稿するゲーム。情報は自治体と共有される。エリアを限定して投稿数を競うイベント「マンホール聖戦」が定期的に開催されており、上位入賞者には賞品が贈られる。

歩道にあるマンホールの耐用年数は30年程度とされているが、自治体の点検・交換が追い付かず、耐用年数を超えているものも少なくない。そこで、ゲームを通じて社会課題解決に貢献しようと、NPO「ホール・アース・ファウンデーション」(シンガポール)が企画。3年8月に実証実験をスタートし、4年3月に正式にアプリを公開した。

同月に静岡県三島市で行われたイベントでは2日間で1万個のマンホールの情報が集まった。同団体の担当者は「少人数なら1年がかりの調査も数日で完了する。市民がインフラを支える仕組みづくりになれば」と話した。7月中旬には初となる近畿でのイベントを予定している。

ほかにも、ポイ捨てされたたばこの吸い殻に名前をつけて位置情報とともに投稿する「ポイ捨て図鑑」など、さまざまな企業や団体がゲーミフィケーションを活用した社会貢献の取り組みを行っている。

近畿大経営学部の羽藤(はとう)憲一教授は「ゲーム的要素を取り入れることで、『やってみよう』と思わせることが重要」と指摘する。単調な業務であっても自ら進んでやる気持ちを起こさせることで、無理なく取り組めるという。

羽藤教授は「ゲーミフィケーションを取り入れる動きは今後さまざまな分野で活発になっていくだろう」としている。(桑島浩任)

ゲーミフィケーション ゲームの要素を、ゲームとは異なる分野の作業などに応用すること。楽しんでもらうことによって作業する人の意欲を高め、効率をアップさせることなどを目的とする。

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