「国民目線の医療」構築急務 日医新会長に松本氏

松本吉郎氏
松本吉郎氏

日本医師会の新会長に就任した松本吉郎氏には、新型コロナウイルス禍で脆弱さが露呈した医療体制の立て直しや、医療界のデジタル化への対応といった課題が山積している。政府と意思疎通を図った上で、国民本位の医療提供体制を構築できるかが焦点となる。

新型コロナの感染が急増した際には、各地で病床が不足し、患者が入院できずに自宅で亡くなるケースが相次いだ。コロナ病床を設ける公的医療機関では医師や看護師不足が指摘されたが、開業医の多い日医は十分な協力体制を用意できず、批判を浴びた。

前任の中川俊男会長はかねて政府とのパイプが細く、コロナ対策を練る際にうまく連携できなかったことも、医療体制が混乱した遠因とされる。

それだけに、松本氏は25日の記者会見で「政界とも普段からのコミュニケーションが大事だ」と強調。組織改革にも取り組み、現在10人の常任理事を増員し、政府などとの調整役を増やす考えだ。中川氏と対立していた横倉義武元会長は、自民党の麻生太郎副総裁らと太いパイプを持つだけに、松本氏は連携を強める意向も示す。

令和6年度は、患者への医療サービスの対価として支払われる診療報酬に加え、介護報酬と障害福祉サービス等報酬と合わせた「トリプル改定」が迫る。

松本氏は会見で、診療報酬改定などに向け「組織力を強化する」とも語ったが、日医の都合のみを優先するようでは国民の信頼は得られない。

日医は医療費の削減効果も期待できるオンライン診療の普及などには、後ろ向きな姿勢が目立つ。急速に高齢化が進む中、社会保障費の膨張をいかに抑えていくかは国家的課題でもある。国民目線に立ち、機動的な医療提供体制をどう作っていくか。松本氏の手腕が問われる。(村上智博)

日本医師会、新会長に松本吉郎氏

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