ソウルからヨボセヨ

夏のキムチ異聞

キムチは辛いので夏場はどうかなという感じがあるが、実は夏向けのキムチというのがある。大根の葉を浅漬けにしたもので「ヨルム・キムチ」という。唐辛子は入ってはいるがあっさり系で、とくに大根の葉の濃い緑色がそのまま残っていて清涼感がある。お店でも家庭でも夏場の食卓には欠かせない。

「ヨルム」は辞書的には「若大根」という意味。葉だけを食用にするので普通の大根のように根っこは大きくならず、いわば夏野菜である。「ヨルム・キムチ」は暑さで食が進まない夏の食事にはもってこいというわけだ。

そこで学校給食でも夏場にはこれが出るのだが、最近、ソウル市内の女子高校の給食で「ヨルム・キムチ」に小さなアマガエルが入っていたといって大騒ぎになっている。仕入れ先が違う2つの女子高で同時発生したため、その混入経路など官民挙げて原因追究が行われている。キムチは中国との間でルーツ争いが外交問題になるなど〝愛国シンボル〟でもあるので、これは一大事だ。

大根の葉っぱにアマガエルは色合いとしては悪くないが、さすがにキムチになった姿はいけません。この事件のおかげで「ヨルム・キムチ」の清涼感は台無しとなり、このところ食堂でも手を付ける客がいなくなったとか。(黒田勝弘)

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