日本外交の「変化に驚き」 仏研究所・パジョン氏

フランス国際関係研究所(IFRI)のセリーヌ・パジョン研究員(三井美奈撮影)
フランス国際関係研究所(IFRI)のセリーヌ・パジョン研究員(三井美奈撮影)

今回の先進7カ国(G7)、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は、ウクライナ戦争さなかの欧州で行われる。岸田文雄首相が参加する意義について、フランス国際関係研究所(IFRI)のセリーヌ・パジョン研究員に聞いた。

--日本外交をどう見る

「日本の変化に驚いた。日本は通常、国際社会であまり存在感を示さず、特に紛争が絡むと立場表明には消極的だった。2014年のロシアによるクリミア併合時も北方領土交渉への配慮から、強い制裁に出なかった。しかし今回、ウクライナへの支持を素早く、明確に打ち出した。迅速に対ロシア制裁を決め、ウクライナに防弾チョッキなど自衛隊の装備品を送った。殺傷兵器ではなくても、大きな一歩だ。液化天然ガス(LNG)の欧州への融通、ウクライナ難民の受け入れなど矢継ぎ早に決め、『欧米とともに取り組む』という日本の意思を感じた。欧州で日本への信頼は高まった」

--NATOと日本の関係は

「NATOはいま、中国に関心が向いている。ただ、ロシアと異なり、欧州は中国との協力関係も探っている。日本は中国と付き合ってきた長い経験があり、連携できるはずだ。NATO諸国と日本は、共にアフガニスタンやイラク支援を行った。ウクライナ復興でも協力できる。ウクライナ復興支援は、G7サミットの課題でもある」

--NATOのアジア関与は

「NATO内に意見の違いがある。フランスやドイツは、NATOによるインド太平洋への直接関与には慎重だ。ロシアの脅威への対応が最優先課題となる中、NATOがインド太平洋に取り組みを広げることに消極的な国もある。ただ、ウクライナ侵攻で中露の連携が注視され、欧州でも『台湾有事の際、どんなシナリオを取るのか』を考える契機になった。現時点では、危機を回避するため、中国に『侵攻を認めない』という警告を送ることが重視されている。NATO軍がインド太平洋に展開するとは考えられないが、偽情報やサイバー攻撃への対応には関与できる」(聞き手、パリ 三井美奈)

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