女性特有の課題の解決を図る「フェムテック」のベンチャー、ベアジャパン(東京都渋谷区)は23日、機能性繊維開発のミツフジ(京都府精華町)と共同で、経血量を計測できるナプキン一体型吸水ショーツの開発に乗り出すと発表した。実現すれば世界で初となる。生理に伴う経血量に関するデータは少なく、個人差が大きいとされる生理痛発症メカニズムの解明や女性特有の疾患の早期発見などにつながる可能性がある。
両社は同日、東京都内で記者発表会を開き、ベアジャパンの高橋くみ最高経営責任者(CEO)は「共同開発を通じて、フェムテックがより一歩進んだものとなり、ヘルスケアの分野でも新たなイノベーションを起こしたい」と意気込んだ。ミツフジの三寺歩社長も「日本発の技術で世界に挑み、女性が抱える社会課題の解決に少しでも役立てられたら」と語った。
銀メッキ加工の導電性繊維を活用
吸水ショーツには、ミツフジが独自開発した銀メッキ加工の導電性繊維を活用。ショーツに電極として編みこむ。ミツフジが平成28年12月に発売した電極一体型の着衣型センサーの技術を応用した。
ショーツのナプキン部分で吸収した経血量を計測し、そのデータを超小型の発信器で使用者のスマートフォンに送信。スマホからクラウド基盤にアップロードして管理する仕組みだ。データや分析結果はスマホで閲覧できるようにする。米国やイスラエルなど海外のスタートアップでは、タンポンを使った経血量測定技術が開発されているが、ナプキン一体型のショーツはまだ開発例がないという。
今後、試作品の開発では、ミツフジの工場がある福島県川俣町などの協力を得て、実際に試着してもらい、使い心地などを調べる。来年2月ころに量産試作品を完成させ、商品化を目指す。
経血量は個人差が大きいが、継続的に計測することで、体調の維持管理に役立てられる。ただ経血量の測定に関しては、いまのところ、使用済みのナプキンを手掛かりに推計するしか方法がない。
都内の産婦人科、広尾レディース(渋谷区)の宗田聡医師は「より多くの人の経血量に関する計測データを集めて、医療機関が『ビッグデータ』」として活用すれば、月経過多など女性特有の疾患の早期発見にも役立てられる」としている。(松村信仁)
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ベアジャパンは同日、低価格帯のナプキン一体型ショーツ「エアライト」を発売した。ショーツの吸水量は約60ミリリットルで、多い日でも安心して使えるという。色は黒、コーラル、ライラック。サイズはXSから3Lまでの6種類を用意した。1枚4950円で、同社サイトで販売する。