ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、同国軍参謀本部は23日、東部ルガンスク州の軍の最終拠点、セベロドネツクと、川を挟み向かい合うリシチャンスク周辺の2集落が露軍に制圧されたと発表した。同参謀本部は、露軍が両市の間を流れるドネツ川の渡河作戦も準備していると指摘した。侵攻開始から24日で4カ月。ウクライナ軍には厳しい情勢が続く。
英国防省は23日、過去数日間で「露軍がリシチャンスク方向に5キロ前進した可能性が高い」と発表。要因は露軍の兵力増強と火砲の集中投入だと分析した。米シンクタンク「戦争研究所」も22日付の戦況分析で「今後数日内に露軍がリシチャンスクに到達する可能性がある」と指摘した。
ウクライナ国防省のマリャル次官は23日、「露軍の火力が優勢で、東部の状況は厳しい」とした上で、ウクライナ軍は「機動防御」(決戦を避け敵の進軍を遅らせる戦術)をしていると述べた。同州のガイダイ知事は、露軍がリシチャンスク周辺に多連装ロケット砲システム100基以上を配備し、激しい砲撃を続けていると明らかにした。
東部ドンバス地域(ルガンスク、ドネツク両州)全域の制圧を目指す露軍は、ルガンスク州を完全掌握した後、攻防が続くドネツク州に戦力を差し向ける戦略だとみられている。
一方、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)は22日、ウクライナ人写真記者のレビン氏(40)と軍人の友人が取材中、首都キーウ(キエフ)北方の森で露軍に殺害されたとし、「報道の自由への犯罪だ」と非難した。RSFによると、2人は3月13日に殺害され、4月1日に遺体が見つかった。殺害前に拷問された可能性が高いという。