ロシアによるウクライナ侵攻で、露国防省は21日、米欧側がウクライナに供与した155ミリ榴弾(りゅうだん)砲15基を過去1日間で破壊したと主張した。長射程・高火力の155ミリ榴弾砲は米欧側が計100基以上を供与し、南部などでウクライナ軍が展開する反攻作戦を支えている。露軍は攻勢を維持するために「脅威」となる155ミリ榴弾砲を集中的に破壊しているとみられる。
露国防省が公開したドローン(無人機)で撮影したとする動画では、155ミリ榴弾砲と搬送用のトラックが砲撃を受け、炎上する様子が映されている。155ミリ榴弾砲は通常、発射後に反撃をかわすため即座に移動するが、露軍はドローンで事前に位置を把握し、攻撃を加えているもようだ。
ウクライナメディアによると、一部が露軍に占領されている南部ザポロジエ州のスタルフ知事は21日、地元テレビで「最前線では現在、火砲の応酬が主な戦闘形態になっている」とした上で、米欧供与の火砲によりウクライナ軍が地位を強化していると説明した。同州やヘルソン州など南部ではウクライナ軍の反攻作戦の進展が伝えられている。
一方、東部ハリコフ州のシネグボフ知事は21日、同日の露軍の砲撃で州都ハリコフや州内の集落で子供を含む民間人計15人が死亡したと発表した。露軍は同州内で一時、後退したが、最近は再び前進を図っている。
ウクライナ軍参謀本部は21日、東部ルガンスク州やドネツク州でも激しい戦闘が続いていると報告した。