参院選(22日公示、7月10日投開票)を巡り、自民党が候補者選考に最も手間取ったのが山形選挙区(改選1)。新人の大内理加氏(59)への公認が6月冒頭に遅れた要因は、党執行部が岸田文雄政権に歩調を合わせる国民民主党を伺い、同区に出馬する国民民主現職、舟山康江氏(56)に配慮する形で擁立見送りを検討したため。短期決戦を余儀なくされるが「不戦敗」に反発が渦巻いただけに大内氏を支える自民県連の士気は高い。舟山氏を支援する立憲民主党県連も国民と「小異」を乗り越え、政権に対峙(たいじ)する野党の矜持(きょうじ)を示す構えだ。
党執行部に翻弄された自民県連
「今日が新たなスタートになったなぁ。分水嶺(ぶんすいれい)ではないだろうか」
18日、JR山形駅前広場。自民県連の森谷仙一郎幹事長は険しい表情を緩め、周囲にこう漏らした。
直前まで広場では岸田首相(党総裁)が聴衆に大内氏への支持を呼びかけていた。15日閉会の通常国会後、首相は初の週末の訪問先に山形を選んだ。山形重視の姿勢を示し、党本部と県連の結束を再確認した形となる。
今回、県連は候補者の擁立をめぐり、党執行部の意向に翻弄されてきた。
「自民、山形で擁立見送り調整 国民民主に配慮か」-3月下旬、自民党員にとって耳を疑うニュースが報じられた。