外食産業の労働環境改善が進むか改めて問われている。牛丼チェーン「すき家」で今年1月、パート従業員の女性=当時(58)=が「ワンオペ」と呼ばれる1人勤務中に倒れ、その後死亡していたことが判明。「ガスト」などを運営するすかいらーくホールディングス(HD)はこれまで5分単位で計算していたアルバイトやパートの勤務時間を7月から1分単位に変更し、過去2年分についても差額を支払うことを決めた。背景には外食産業の慢性的な人手不足があるが、働き手の確保には賃上げ以上に働きやすい職場環境の整備が急務となっている。
「都心では働き手の需要に対し採用が追い付いていない。人手不足は今後、ますます顕著になるだろう」。日本フードサービス協会の石井滋常務理事はこう話す。
新型コロナウイルス禍で営業制限を余儀なくされた外食業界にとって、外出機会の増加や訪日外国人客の受け入れ再開は心待ちにしていたことだが、相次ぐ営業制限から別の働き口を求めて離職する人が増えたことで人員確保が追い付いていない。