22日公示、7月10日投開票の日程で行われる参院選に向け、日本維新の会が埼玉選挙区(改選数4)での勝利を目指し集中的に幹部を投入している。「二枚看板」の松井一郎代表(大阪市長)、吉村洋文副代表(大阪府知事)らが相次いで立候補予定者の応援に駆け付け、支持拡大に余念がない。参院選の当選ラインの票数に迫る勢いだった昨年の衆院選の再現を狙い、議席奪取の機会をうかがう。
「(野党)第二党では力がありません。野党第一党の力を与えていただいて、ちょっと自民党をピリッとさせたいんです」
松井氏は今月19日、JR大宮駅(さいたま市大宮区)で街頭演説会に臨み、こう力を込めた。
維新は埼玉選挙区を、参院選の8つの「重点選挙区」の一つに位置づけている。11日には吉村氏、5月30日には馬場伸幸共同代表もそれぞれ埼玉県内入りして支持を訴えた。
埼玉選挙区は自民党の関口昌一氏(69)、公明党の西田実仁氏(59)、元知事でもある無所属の上田清司氏(74)の各現職と、立憲民主党新人で元県議の高木真理氏(54)が争いの軸になると目されており、維新新人で弁護士の加来武宜氏(41)、共産党新人で元衆院議員の梅村早江子氏(57)らも絡む混戦が予想される。
令和元年の改選では、自民、旧立憲民主、公明、共産各党の候補が議席を獲得した。当選者のうち最も得票が少なかった共産党公認候補の35万9297票に対し、維新公認候補は20万4075票。この戦果を踏まえると勝利からは程遠いようにも思えるが、維新関係者が念頭に置くのは昨年の衆院選での躍進だ。
衆院選比例代表で維新は埼玉県内で33万1083票を獲得し、選挙区に擁立した新人4人のうち2人が比例復活当選を果たした。参院選の選挙区でも同程度の票を得ることができれば、当選圏に浮上する可能性は十分にある。衆院選当選者の一人で県支部代表の高橋英明衆院議員は、衆院選での躍進を経た現在が「絶好のチャンスだ」と語る。
多くの維新関係者が、議席奪取に向けて「標的」と見据えるのは立憲民主党の高木氏だ。埼玉選挙区では国民民主党が上田氏を推薦するため、旧民進党支持層の票がばらけることが確実な情勢だからだ。
もっとも、維新は立憲民主党に比べると地方議員の数などの点で大きく劣り、県内全域をエリアとする広大な選挙区で「風」に頼らずに戦い抜くだけの地力は乏しい。
「われわれには大阪で行政を運営してきた経験があります。今の立憲民主党は行政を動かした経験はありません!」
松井氏が街頭演説会で立憲民主党への対抗心をむき出しにしたのは、選挙戦に向けた焦燥感の裏返しでもある。(星直人)
◇
■立候補予定者(4―15)
関口 昌一69 党参院会長 自現
高木 真理54 元県議 立新
西田 実仁59 党参院会長 公現
【自】
加来 武宜41 弁護士 維新
梅村早江子57 元衆院議員 共新
西 美友加50 弁護士 れ新
河合 悠祐41 派遣会社役員 N新
小林 宏49 建設業 N新
宮川 直輝49 建設会社役員 N新
池 高生53 IT会社役員 N新
湊 侑子39 幸福党県役員 諸新
坂上 仁志60 経営コンサル 諸新
堀切 笹美47 不動産業 諸新
上田 清司74 元知事 無現
【国】
高橋 易資65 不動産業 無新