アマゾン、巨大物流拠点を公開 EC拡大で建設続々

自走ロボットが運んできた棚から商品を取り出す従業員=20日午後、兵庫県尼崎市(桑島浩任撮影、一部画像処理しています)
自走ロボットが運んできた棚から商品を取り出す従業員=20日午後、兵庫県尼崎市(桑島浩任撮影、一部画像処理しています)

インターネット通販大手のアマゾンジャパン(東京都目黒区)は20日、3月に兵庫県尼崎市へ開設した物流拠点「アマゾン尼崎フルフィルメントセンター(FC)」を報道陣に公開した。商品の仕分けなどを手伝う自走式ロボットに加え、日本で独自開発した最新の出荷システムを導入し、利用者の注文に迅速に対応する。新型コロナウイルス禍が少し落ち着き消費者の外出機会が増えたが、ネット通販(EC)需要は依然として高く、大型物流施設の建設が続いている。

アマゾン尼崎FCは地上4階建て、延べ床面積は約10万平方メートルで、同社の物流拠点では西日本最大規模となる。商品の仕分け作業は自動化され、アマゾンのショッピングサイトで注文が入ると、自走式ロボットが商品の入った棚を従業員のもとに自動で運んでくる。

従業員の作業スペースに設置されたモニターに商品の写真が表示されるだけでなく、商品を取り出す棚や、商品を次に入れるかごにそれぞれ光によるガイドが表示され、迷わず仕分け作業ができる。

以前は従業員が倉庫内を走り回って商品を集め、1日の移動距離は約8キロに上った。平成28年ごろから国内で自走式ロボットの導入が始まり、現在では従業員はほとんど動く必要がない。人の移動スペースを確保する必要がなくなったことで、保管できる在庫が最大40%も増加した。

同社オペレーション技術統括本部の渡辺宏聡(ひろあき)統括本部長は「(物流拠点の建設で)インフラを大幅に拡大し、7月のセールで日本中のより多くのお客さまに商品をお届けできる」と力を込めた。

りそな総合研究所によると、国内のネット通販の市場規模は令和元年の6兆円から、新型コロナ禍を経て3年には7・8兆円にまで拡大。2人以上の世帯の利用率は50%以上に達し、蔓延(まんえん)防止等重点措置が全面解除された4年3月以降も同じ水準を保っている。

大規模物流施設の建設ラッシュが続いており、三菱地所などは今月1日、神奈川県相模原市で地上5階建て、延べ床面積約17万平方メートルの大規模施設を着工。国道や高速道路に近く、首都圏だけでなく広域への配送にも適している。日本GLP(東京)は15日、兵庫県尼崎市に同約37万平方メートルの施設を建設すると発表した。

りそな総研の荒木秀之主席研究員は「リアル消費からネット通販に一度移行してしまうとリアル消費に戻りにくい傾向がみられる」と述べ、旺盛なネット通販需要は今後も続くとの見通しを示した。(桑島浩任、井上浩平)

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