大阪市北区曽根崎新地のクリニックで昨年12月、26人が犠牲となった放火殺人事件は17日、発生から半年を迎える。患者だった谷本盛雄容疑者=死亡当時(61)=がガソリンをまいて火を放ち、クリニックは一瞬で炎と煙に包まれた。
クリニックでは
事件で犠牲となったのは心療内科「西梅田こころとからだのクリニック」の西澤弘太郎院長(49)らスタッフと患者計26人。その命を奪ったのは高濃度の一酸化炭素を含んだ煙だった。煙は約20秒でフロア全体にほぼ充満したことが解析会社のシミュレーションで判明。多くの被害者が短時間で意識障害に陥ったとみられる。
容疑者の孤独
クリニックの患者だった谷本容疑者は事件当時、孤立と貧困を極めていた。交友関係はほとんどなく、口座の残高はゼロ。容疑者は意識を回復しないまま事件から約2週間後の12月30日に死亡したが、自らの自殺願望に道連れにする「拡大自殺」だったとの見方が強まった。
容疑者の孤独を追った連載【偏執-北新地ビル放火殺人】
大阪府警天満署捜査本部は事件から3カ月後の3月16日、殺人や現住建造物等放火などの疑いで、谷本容疑者を書類送検。大阪地検が容疑者死亡で不起訴とし、捜査は終結した。