発熱や発疹が表れる動物由来のウイルス感染症「サル痘」の患者が世界各国で急増している。「極めて異常」。世界保健機関(WHO)が警戒を強める中、日本では新型コロナウイルス禍で途絶えていた外国人観光客の入国手続きの再開とタイミングが重なり、不安を抱く人も少なくない。サル痘の実態は不明な点も多いが、約50年前まで国内で接種されていた天然痘ワクチンに効果があるとされ、政府も研究に乗り出す方針を固めた。ただ専門家はコロナよりは感染が防ぎやすいとして、「まずは基本的な対策を」と呼びかける。
「子供や妊婦は特に心配」と、テドロス事務局長
「世界的なサル痘の感染拡大は明らかな異常事態」。WHOのテドロス事務局長は14日の記者会見で危機感をにじませた。テドロス氏は市中感染とみられる例が報告されているとし、「子供や妊婦を含む脆弱(ぜいじゃく)な集団へのリスクを特に心配している」と懸念を表明している。