新疆公安資料「言い訳はもうやめて」 ウイグル協会幹部

日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長=令和2年11月、東京都調布市(奥原慎平撮影)
日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長=令和2年11月、東京都調布市(奥原慎平撮影)

中国新疆ウイグル自治区でウイグル人が強制収容されている施設の内部資料数万件が流出した。中国人当局者が制圧訓練を実施したり、収容者に覆面や手錠をつけ注射したりする写真が含まれる。日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長は14日までに産経新聞のインタビューに応じ、日本の政治家に対し「『事実確認ができない』など言い訳はもう止めてほしい。流出資料のウイグル人の表情を見て、よりよい方向に世界を変えてほしい」と踏み込んだ対応を訴える。(奥原慎平)

──中国当局のデータベースから収容施設の内部写真や2万人超の収容者リスト、顔写真などが流出した

「施設の中身が目に見える形で出てきたことがこれまでと決定的に違う。収容政策が本格化した2017年以降、施設の写真は外観しかなかった。施設内が検証できないため、国際社会が(ウイグル問題を)冷たく見ていた一面があっただろう」

──流出資料を見て、どう感じたか

「私に限らず海外のウイグル人が思うのは『自分の家族が現地で同じ目に遭っているのではないか』ということだ。罪を犯していない家族が施設で鎖につながれ、注射され、外部と連絡もとれず、あの環境にいると思うと許せない。無力さを感じ、やりきれなくなる。『習近平(国家主席)も中国の外務省報道官も入ってみろ』と言いたい」

──中国政府は収容施設について「職業技能教育訓練センター」と主張する

「収容者に黒い袋をかぶせ、手足に鎖をつけ、今すぐ撃ち殺しそうな光景を学校と呼べるのか。(写真の収容者の表情を見ると)自ら望んで入ったようには見えない」

──5月下旬にバチェレ国連人権高等弁務官がウイグル自治区を視察した

「バチェレ氏には行動制限があった。海外のウイグル人や元収容者、メディアも含めた調査団に行動制限がない現地訪問をさせてほしい。注文をつけて行動制限するなら、隠し事をしているのに等しい。国際社会は透明性のある調査を中国に求め、応じなければ制裁を科すという方向に強くかじを切ってほしい」

──ロシアが侵攻したウクライナの窮状に国際社会が連帯している

「ウクライナとウイグルで起きていることは、非人道的な扱いで人々が命を落としている点で同じ。違いは目に見えるかどうかだ。どんなひどい犯罪をしても、隠したら罪や責任が問われない世の中にはなってほしくない」

──中国は内政問題だと主張する

「内政問題なら、好き勝手に人を施設内で鎖につなぎ、殺していいという話ではない。そういう世界になろうとする動きには国際社会が一丸となって止めねばならないのではないか。人の命は国境で区切られない。ひどい国で生まれ育ったら、人の尊厳が踏みにじられ、好き勝手に殺されていいということになる」

──日本国内にも差別が存在するから、中国の人権侵害行為に対し主張する権利はないという意見がある

「人権問題は世界中どこでも何らかの形で存在する。お年寄りから子供まで無差別に社会全体が恐怖で支配されているウイグル人弾圧は規模も次元も違う。『日本もちゃんとしないと他国のことは言えない』というのは、中国政府の主張と同じことを言っているように見えてしまう」

──日本の政治家に求めたいことは

「深呼吸した上で流出資料を見てほしい。注射される人、鎖でつながれている人の表情を見て、その目が何を語っているか、考えてほしい。恐怖におびえているお年寄りや子供が、自分の親や子だったら、どう思うのか。日本の政治家は日本のために働くのが当たり前だ。ただ、世の中に起きている人権問題について、日本として言うべきことは言い、よりよい世界に正していってほしい。国際貢献や人権外交をうたうなら、ウイグル問題を避けて通るのは違うのではないか」

──政治家はウイグル問題について『注視している』『懸念している』『事実確認ができない』という

「『事実確認はできない』など言い訳はやめてほしい。流出資料を見ても、中国に何も言わないならば、中国に『どうぞ続けてください』という誤ったシグナルになりかねない。そうはしないでほしい」

「中国は国際社会に踏み込んだ対応を取らさせず、今の状況に慣れさせようと時間稼ぎをしている。収容所のような環境ではほとんどのウイグル人が寿命よりも早く死ぬ。銃で撃ち殺さずとも、ウイグル社会を崩壊させようとしている」

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