子供関連政策の司令塔となる「こども家庭庁」の設置関連法案は14日の参院内閣委員会で自民、公明両党などの賛成多数で可決した。15日の参院本会議で成立する。少子化が加速し、虐待や子供の貧困などの問題が深刻化する中、行政のたて割りを解消し、一元的に対応を目指す。
岸田文雄首相は採決に先立つ質疑で「こども家庭庁によって『こどもまんなか社会』を目指していく」と強調。また、「こども家庭庁は基本姿勢として地方自治体との連携強化を掲げている。先駆的な自治体と情報共有、対話を丁寧に行うことで国の子供政策の充実を図りたい」とも語った。
法案は首相直属機関のこども家庭庁を令和5年4月に内閣府の外局として創設し、内閣府と厚生労働省の関連部署を移管する内容。同庁は「企画立案・総合調整部門」「成育部門」「支援部門」の3部門で構成し、各省庁に子供政策の改善を求める「勧告権」を持つ専任の閣僚を置く。省庁の対応が不十分な場合は首相に意見を述べることなどができる。少子化や虐待、子供の貧困などの課題解決に向けて幅広く対応する。
内閣官房によると、こども家庭庁の人員は300人規模となる見通し。自治体との人事交流や民間人材の登用も積極的に行い、外部の経験を政策立案に生かす方針だ。一方、省庁のたて割り打破を掲げたものの、幼稚園や保育園、認定こども園の所管を統合する「幼保一元化」の実現は見送った。