大手電力、苦悩の夏 節電家庭にポイント付与 燃料高で料金値上げも

節電のため、照明が落とされた経産省の庁舎内=3月22日午前
節電のため、照明が落とされた経産省の庁舎内=3月22日午前

電力需給逼迫(ひっぱく)に伴い7月から始まる政府の節電要請に併せて、大手電力各社が家庭の節電を促すため、電力使用量の減少分に応じて特典ポイントを付与する取り組みを進める。大規模停電回避に向けて経済産業省もこうした取り組みに期待を寄せているが、ウクライナ危機に伴うエネルギー価格高騰で各社の経営状況は厳しい。電気代の値上げなどで収益改善を図る一方で、いかに節電への協力も積み上げていくか頭を悩ませている。

東京電力エナジーパートナー(EP)は7~9月、指定された時間帯の節電量に応じてポイントを受け取れるキャンペーンを実施する。直近数日間の平均使用量からの減少分に対し1キロワット時あたり5円相当のポイントを参加者に付与。前年比3%の節電につなげる考えだ。

ポイントは電気料金の支払いには充てられないが、Tポイントやアマゾンギフト券など他社のサービスと交換できる。

東北電力も月間の電気使用量が前年同月比5%以上減った利用者に抽選でポイントを付与するキャンペーンを7~10月に行うほか、九州電力はアプリを使った節電要請に協力した利用者に付与するポイントの増量を検討する。

経産省によると、電力需給は平成29年度以降の夏で最も厳しい見通し。安定供給には電力需要に対する供給余力を示す「供給予備率」が少なくとも3%は必要とされるが、7月の見通しは東北から九州の8電力管内で3%台と〝綱渡り〟の状況だ。大規模停電の回避には、休止中の火力発電所の稼働など供給面の対応に加え、家庭や企業への節電要請が具体的に需要を抑える効果を発揮することが欠かせない。

それだけに、萩生田光一経産相は14日の閣議後会見で「節電ポイントを付与するなどの取り組みが今後、さらに広がることを期待している」と、電力各社の動きを歓迎する。

一方、火力発電所の燃料となる液化天然ガス(LNG)や原油などの価格高騰に伴い、大手電力10社中4社が7月分の従来の家庭向け電気料金「規制料金プラン」で値上げを実施する。

上昇分を価格に転嫁できる「燃料費調整制度」は7月分で新たに九電を含む7社が上限に達した。今後、経産省に申請しない限り、7社は規制料金プランの値上げはできない。

各社の判断で値上げが可能な電力小売り自由化後の「自由料金プラン」では、九電が一部プランで10月から燃調費の上限を廃止すると発表しているが、燃料価格上昇分を十分に転嫁できない中、新たに夏の節電対応の課題も抱え、各社の苦境はしばらく続きそうだ。

(永田岳彦)

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