宮城県の村井嘉浩知事は13日の定例会見で、関西電力が同県川崎町の山間部に計画する風力発電事業について「東北にわざわざ出てきて、設置せずとも、関西でおやりになればよろしいのではないか」と述べ、不快感をにじませた。
村井氏は「法的に問題はないが、心情的に違和感がある。再生可能エネルギーの普及は極めて重要だが、長年守り続けてきた山林の価値を失うことには危惧を持っている」と強調した。
関電の計画は川崎町の約1600ヘクタールの私有林に高さ最大180メートルの風車を最大23基設置する。地元からは自然破壊や景観の喪失を懸念する声が上がり、一部住民が計画中止を求める団体を発足させている。
村井氏は、県内各地の山間部で太陽光や風力発電事業が計画されていることを念頭に「われわれは多くの山林を抱え、日本全体の脱炭素に貢献している自負がある。そういう場所に次々と山林を開発することが正しいのか。平野部でできないわけでもない。わざわざ山の木を切り倒してやる必要があるのか」と疑問視した。
関電は5月30日、計画段階の環境配慮書を経済産業省などに提出。経産省は宮城県など周辺自治体の意見を踏まえ、事業計画を審査する。