はるか昔、地方公務員だった友人が「日曜日の昼過ぎになると、月曜日のことを考えて胃が痛くなる」と笑顔でこぼしたことがありました。私はそのころ、いまだ定職に就けずにいたため、「何をぜいたくなことを」と軽い反発を覚え、黙って聞き流しました。
その後、20年ほどしてこの友人が亡くなったと細君から知らされました。母子家庭に育った彼は、家計を支えるために大学卒業後の進路にあたっては「安定」を最優先し、本意ではない就職先を選びました。さぞ多くのストレスを抱え、それが寿命を縮めた要因となったであろうことは容易に想像がつきます。なぜ、そんな友の気持ちにもう少し寄り添うことができなかったのか。痛恨でした。
現代社会はただでさえストレス過多です。加えて近年は新型コロナ禍、さらにロシアによるウクライナ侵攻がもたらした惨状や戦火拡大・劇化への懸念、またこの戦争が長期化することに伴う原油・天然ガスの高騰や小麦不足など、社会・経済的な不安が地球規模で広がっています。