難病「心アミロイドーシス」を公表 元楽天監督・田尾安志氏の思い

難病「心アミロイドーシス」を患っていることを公表した野球評論家の田尾安志さん=2月、兵庫県芦屋市(南雲都撮影)
難病「心アミロイドーシス」を患っていることを公表した野球評論家の田尾安志さん=2月、兵庫県芦屋市(南雲都撮影)

プロ野球の中日や阪神などで活躍し、楽天の初代監督を務めた野球評論家の田尾安志氏(68)が、厚生労働省指定の難病「心アミロイドーシス」を患っていることを自身の公式ユーチューブチャンネルで公表した。元プロレスラーのアントニオ猪木さんも同じ病気で闘病している姿を公にしており、日本では現在、約2千人の患者がいるとされる。田尾氏は以前と変わらない生活を送っているものの、気づかぬうちに心不全を引き起こすこともある病だけに「潜在的にはもっといると思うので検査をしてほしい。少しでも啓蒙(けいもう)になれば」と呼び掛けている。

突然の宣告

評論家として球場に足を運ぶ一方で、趣味のロードバイクや釣りなど精力的に活動してきた田尾氏。今年に入り、定期的に行っている血液検査で心臓に関する数値が異常な高さを示したという。心電図などの検査を進めていくと、「心アミロイドーシス」という難病に罹患している可能性が浮上。担当医師からは「すぐに車椅子生活です」と宣告された。

もっとも「なるようにしかならないと思うタイプなので、ショックとかは全くなかったです」と意外にもすぐに受け入れたという。4月半ばに検査入院。口腔(こうくう)や大腸、胃などの検査で異常は見つからなかったが、心臓カテーテル検査で「心アミロイドーシス」と診断された。

潜在的には数万人とも

アミロイドーシスとは一般には耳なじみのない病名だが、誰にも発症の可能性がある。「アミロイド」と呼ばれる繊維状の異常タンパク質が臓器に沈着し、機能障害を起こす病気だ。

田尾氏は全身性のものだが、ある臓器に限定してアミロイドが沈着する「限局性」のものもある。脳に限局する脳アミロイドーシスがアルツハイマー型認知症だ。はっきりとした原因は不明だが、加齢によって引き起こされるとされ、男性の患者が多い。心アミロイドーシスの場合は心不全や不整脈が主な症状となって表れるが、手のしびれを起こす手根管(しゅこんかん)症候群もある。

日本アミロイドーシス学会で副代表幹事を務める信州大学医学部の関島良樹教授は「5年ほど前の全国調査では50人しか患者が見つからなかった。今は約2千人いるといわれているが、潜在的には数万人いると思われる」と指摘。かつては治療法がなかったが、2019年に経口薬「ビンダゲル」が認可され、症状の進行を止めることができるようになった。これによって死亡リスクは30%減少されたという。

体調に大きな変化なく

田尾氏は当初、「体調が悪いことを他人に言うのは嫌だな…」という思いもあったが、歯科医師でもある長男の勧めもあって5月30日、自身の公式ユーチューブチャンネルで公表した。階段で息切れを感じるようなこともあるものの、今のところ体調に大きな変化はないという。

今後は薬を毎朝服用しながら、新聞の評論やテレビ解説、ユーチューブの更新などの仕事はこれまで通り続けていく。田尾氏は「早めに発見して対処していければ、それほど大きな病気にならないと思う。これを機会に『ちょっと検査してみよう』と思う人が増えてくれたらうれしい」と話した。(大石豊佳)

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