「銭湯は日本の宝物」足運ぶきっかけに フランス出身、ステファニー・コロインさん

「街の銭湯」の魅力を語り合い、伝承するオンラインコミュニティ「#銭湯へゆこう」が9日、産経新聞社のコミュニティ「きっかけ」内にオープンした。全国各地にあり、地域の交流の場ともなってきた銭湯だが、その数は年々減り続けている。日本への留学で銭湯に魅了され、「銭湯大使」として世界に日本の銭湯の情報を発信するフランス出身のステファニー・コロインさんにその魅力を聞いた。

美術館のようなデザインが素敵な東京都荒川区の「雲翠泉」を訪れたステファニー・コロインさん(ⓒJordy Meow)
美術館のようなデザインが素敵な東京都荒川区の「雲翠泉」を訪れたステファニー・コロインさん(ⓒJordy Meow)

観光案内所として

「これまでに千軒以上、日本全国の銭湯に行きました。それぞれの銭湯にストーリーがある」と話すステファニーさんは、平成20年に日本に留学した際、フランス人の友人から誘われ、初めて銭湯ののれんをくぐった。「フランスでは知らない人の前で裸になる文化がないので、最初は恥ずかしさもあった。でも銭湯では誰も気にしていない。すぐに慣れました」

当時は日本語もうまく話せなかったが、常連客や銭湯の主人は温かく、銭湯の入り方やマナーを教えてくれた。地元の人が地域の情報を教えてくれる「観光案内所」としての機能もあり、土地の方言に触れることもできる。親子何代にもわたる「お湯の職人」たちが営む個性豊かな銭湯はアートとしても魅力的で、すぐにファンになった。

印象に残る銭湯は数限りないが、「淡路島の扇湯(兵庫県淡路市)は特に、地元のコミュニティが強く感じられる。『おかえりなさい』と迎えてくれ、お湯の温かさと人の温かさに感動します」と話す。インコを眺めながら入浴できる「松葉湯」(京都市上京区)、露天風呂からしか行けない休憩室がある辰巳湯(東京都江東区)、庭に果物の木が植えられている平田(へいでん)温泉(名古屋市東区)など、おもしろい銭湯を紹介し始めたら止まらない。

京都市上京区の「松葉湯」(ステファニー・コロインさん撮影)
京都市上京区の「松葉湯」(ステファニー・コロインさん撮影)

ステファニーさんは、訪れた銭湯の写真を「インスタグラム」で紹介。27年には日本銭湯文化協会の「銭湯大使」に就任し、「銭湯は、小さな美術館」(啓文社書房)などの書籍も出した。銭湯でのフリーマーケットや経営者に話を聞くイベントを企画したり、大学で講演したりと、銭湯を盛り上げる活動は多岐にわたる。「銭湯は日本の宝物。海外から取材を受けることも多く、これまで銭湯を知らなかった人も次に日本を訪れたら絶対に行きたいと言ってくれる」と世界中に銭湯ファンを拡大中だ。

減少の一途たどり

ただ、銭湯をめぐる状況は厳しい。業界団体「全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会(全浴連)」に加入する銭湯の数は、昭和43年の約1万8千軒をピークに、今年4月時点で1865軒に減少した。「各家庭の風呂が充実したことが大きな要因」(厚生労働省)というが、光熱費の高騰や経営者の高齢化による後継者不足も追い打ちをかける。

新型コロナウイルスの影響もあって、「いくつもの銭湯が廃業したと聞き、本当に悲しい」とステファニーさん。銭湯を愛するひとりとして、「ネットでの交流をきっかけに、まずは近所の銭湯に行ってほしい」と新コミュニティ「#銭湯へゆこう」に期待を込めた。

足運ぶきっかけに

インターネット上でファン同士がつながり、会話を楽しむオンラインコミュニティ「きっかけ」内には、暮らしや食、エンターテインメントなどさまざまなジャンルのコミュニティが続々と誕生している。9日にオープンした「#銭湯へゆこう」は、牛乳石鹸共進社と産経新聞社、オンラインコミュニティ運営大手のクオンが共同で運営する「銭湯」に特化したコミュニティだ。

ユーザーは、地元の銭湯情報や銭湯にまつわる思い出などを投稿。銭湯について語り合い魅力を再発見するとともに、銭湯に関心はあるものの行ったことがないユーザーにも気軽に足を運んでもらう”きっかけ”になることを目指す。(道丸摩耶)

「#銭湯へゆこう」では、8月31日午後1時までに同コミュニティに登録、コメントを投稿した人を対象に、「牛乳石鹸”ぎゅ~っと”商品詰め合わせ」が計100人に当たるオープニングキャンペーンも実施中。コミュニティへの登録、参加は無料。

#銭湯へゆこう(きっかけ内のコミュニティ)

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