岸田文雄首相は8月に米ニューヨークの国連本部で開催予定の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に出席する方向で調整に入った。10日、複数の政府関係者が明らかにした。日本の首相の出席は初めて。ウクライナに侵攻したロシアが核による威嚇を繰り返す中、被爆地・広島選出の首相として核廃絶への決意を訴える考えだ。
首相は「核兵器のない世界」の実現をライフワークに掲げる。そのためのプロセスとして核兵器国と非核兵器国がともに出席する再検討会議を重視しており、当初、会議の1月開催が予定されていた際も出席やビデオ演説を検討していた。
新型コロナウイルスの感染拡大で開催が延期されたが、2月に始まったウクライナ侵攻ではロシアのプーチン大統領らが繰り返し核兵器の使用を示唆している。
首相は8月の会議で核兵器の使用や威嚇を許さないとのメッセージを国際社会に発信するほか、来年の先進7カ国首脳会議(G7サミット)の広島開催の意義などについて説明するとみられる。参院選後の国会日程なども見極めた上で、出席の可否を最終判断する見通しだ。