名刀「山姥切」の取得、足利市が検討 市長「里帰りさせたい」

再展示で、若い女性ら刀剣ファンの人気を集めた山姥切国広=2月、栃木県足利市通の足利市立美術館
再展示で、若い女性ら刀剣ファンの人気を集めた山姥切国広=2月、栃木県足利市通の足利市立美術館

安土桃山時代の刀工・堀川国広の名刀「山姥切(やまうばぎり)(国広」(個人蔵、国重要文化財)について、栃木県足利市の早川尚秀市長は8日、市議会一般質問の質疑で、「足利に里帰りさせたい」と述べ、近く所有者に取得を打診することを明らかにした。クラウドファンディングによる購入資金の調達も検討している。山姥切は今春開催された展示でも、全国から多くのファンを集めた人気の名刀だけに、大きな話題となりそうだ。

刀工・堀川国広の傑作とされる山姥切国広(栃木県足利市提供)
刀工・堀川国広の傑作とされる山姥切国広(栃木県足利市提供)

山姥切国広(刃長約70センチ)は天正18(1590)年、当時の足利領主・長尾顕(あき)長の依頼で国広が鍛えた。顕長が小田原北条家から拝領した刀「本作長義」(国重要文化財、徳川美術館所蔵)を模したとされ、国広の最高傑作といわれる。

山姥切の俗称は小田原落城後に譲り受けた武士が山中で山姥を切り捨てた伝説にちなんだもので、文化庁によると、現在は千葉県の個人が所有しているとされる。

足利市は所有者と交渉して5年前、同市立美術館で山姥切を初展示したところ、全国からファン3万8千人を集客。今春の再展示でも新型コロナウイルス禍の入場制限にかかわらず、ファン2万5千人が足利に詰めかけた。

展示期間中の経済効果は2回で計9億円近くに上り、同市は歴史と文化資源を軸に観光振興を図る観点から、新たな資源として取得を検討することにした。

8日に行われた市議会での質疑では、あしかが自民党議員会の横山育男市議が「寄託、将来的には購入も考えるべきだ」と質問。早川市長は「足利市に里帰りさせたい。所有者の意向を踏まえ、寄託、購入について適切に(所有者に)意思表示したい」と答弁。今春の再展示に当たり、市長自ら既に所有者と面会していることも明らかにした。

産経新聞社の取材に対し、早川市長は「できるだけ早いうちに意思表示をしたい」と強調。取得する場合、数千万円以上の取得費が必要とされ、クラウドファンディングやふるさと納税、同市民文化財団の財産(約10億円)の活用などを検討する考えも示唆した。

クラウドファンディングの活用では2年前、岡山県瀬戸内市による上杉謙信の愛刀「山鳥毛(さんちょうもう)」(国宝)取得をめぐり、5億円の購入資金に対し、約9億円の寄付が寄せられた。

山姥切は再展示後、足利市が預かっており、取得に先立ち、所有権は移さずに同市が維持管理する寄託の手続きが進められる見通し。(川岸等)

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