がん電話相談から

乳がん術後 化学療法の副作用つらい

Q 70歳女性です。昨年10月に左乳房に違和感を覚えクリニックを受診したところ2・3センチの乳がんが見つかりました。検査の結果、悪性度の高い「トリプルネガティブ乳がん」と言われました。翌月、左乳房を全摘し、左の脇の下にある腋窩(えきか)リンパ節を郭清(かくせい)(切除)する手術を受けたところ、リンパ節転移が3個ありました。今年1月から化学療法を開始しましたが、副作用がとてもつらく、日常生活にも支障が出ています。中止することはできないでしょうか。

A トリプルネガティブ乳がんというのは、がん細胞にホルモン受容体やHER2と呼ばれるタンパク質が存在しないタイプで、薬物療法としては、ホルモン療法や抗HER2薬は使わず、主に抗がん剤を使用します。これまでにどのような化学療法を受けましたか。

Q EC(エピルビシンとシクロホスファミドの併用)療法を3週間ごとに4回受けました。これには何とか耐えることができましたが、4月にドセタキセルの治療を受けたところ、だるさや痛みなどの症状が強く出て、1週間ほど寝込みました。その後も、手足のしびれや爪の変色、物忘れがひどくなるなどの症状が続いていて、日常生活もままならず、夫にも負担をかけています。

A それはつらかったですね。担当医にも伝えましたか。

Q はい。前回受診時に、ドセタキセルを中止したいと相談したところ、1時間くらいかけて詳しい説明をしてくれました。ドセタキセルは3週間ごとに4回投与する予定で、予定通りやり切った方がよいと言われました。化学療法によって再発率が15%下がるという話でしたが、そんなに少ない確率ならやめたいというのが本音です。

A 15%低下というのは、100人の患者さんのうち35人が再発する可能性がある状況で、100人全員が化学療法を受けると、35人のうち15人が再発を免れるという意味です。化学療法を受けても20人は再発しますし、再発しない80人も、いずれは、他の病気になったり、寿命を迎えたりします。それを理解した上で、化学療法を受ける意味が小さいと感じるのであれば、その感覚は大事にした方がよいと思います。すでに、予定した化学療法の半分以上は受けているわけですので、残り3回のドセタキセルで再発を避けられるのは数%程度です。副作用がそれだけきつかったのであれば、もう十分に治療を受けたと考えて、中止してもよいように思います。

Q 数%なんですね。そのためにあのつらさに耐えることはできません。

A 十分に頑張ったと思いますよ。やるべきことはやり切ったんだと思って、これから過ごしてくださいね。

Q 化学療法を中止する代わりに、自費診療のクリニックで免疫療法を受けようかとパンフレットを取り寄せていたんです。

A 保険診療になっていないのは、効果が証明されていないものですので、そういうものを受ける必要は全くありません。そんなことにお金をかけるよりも、乳がん治療を卒業するのを記念して、旦那さんと旅行でも計画したらいかがですか。

Q そうですね。安心しました。隣で夫もうなずいています。

回答は、がん研有明病院の院長補佐・乳腺内科部長、高野利実医師が担当しました。

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