露、食料危機に揺さぶり 制裁解除も条件

ロシアのプーチン大統領(AP)
ロシアのプーチン大統領(AP)

ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な食料危機の解決に向けて国連などが仲介に動く中、ロシアが欧米諸国による経済制裁の解除を条件に求めるなどして揺さぶりをかけている。ウクライナ側は国際社会がロシアに譲歩する事態を警戒。食料輸出をめぐる駆け引きの着地点は見通せない。

ロシアとウクライナは穀物の主要輸出国で、小麦の輸出量は両国で世界の3分の1、トウモロコシは2割を占める。だが、ウクライナの輸出は主要ルートの黒海を露軍に封鎖され、停滞している。ロシアの輸出は制裁の影響で欧米企業を中心に取引を控える動きが広がり、減少している。

ウクライナからの穀物輸出実現に向けては現在、国連が同国とロシアを仲介し、円滑な輸出の枠組みを作る協議の場を設けようとしている。トルコも国連に協力する意向を示し、8日には同国を訪問するラブロフ露外相と協議する。

ただ、プーチン露大統領は3日に放映された国営テレビとのインタビューで、ロシアがウクライナの輸出を妨害しているとのウクライナや欧米の説明を「はったりだ」と批判。食料高騰については「新型コロナウイルスが流行した2020年に始まった」とし、侵攻が主因ではなく、ロシアへの経済制裁が状況を悪化させていると主張した。

また、ウクライナが輸出するには、ロシアの同盟国である隣国のベラルーシを経由するのが「最も簡単」とし、そのためには欧米によるベラルーシへの制裁の解除が必要とした。

プーチン氏は5月末の仏独首脳との電話会談などでウクライナの輸出円滑化に協力し、ロシアが穀物輸出を拡大させる用意があると語っているが、「制裁解除が条件だ」としている。

露側はまた、輸出枠組みの構築について「ウクライナが黒海に敷設した機雷の除去が条件だ」(ネベンジャ露国連大使)とも要求。しかし、機雷の除去は、黒海沿岸の重要都市オデッサへの露軍の上陸を容易にしかねない。

これに対し、ウクライナのクレバ外相は「ロシアはオデッサなどの安全を保証していない」と非難。輸出再開にはロシアによる安全の確約や、第三国の護送船団の同行が不可欠だとしている。一方、国連のグテレス事務総長は1日、仲介について「進展」はあるものの、「あらゆることが相互に関連しており、交渉は複雑だ」と表明した。

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