日米韓「分断作戦」に対抗 首相、次官級協議で結束アピール

北朝鮮のミサイル発射を受け、記者の取材に応じる岸田首相=5日午前、福島県葛尾村
北朝鮮のミサイル発射を受け、記者の取材に応じる岸田首相=5日午前、福島県葛尾村

政府は北朝鮮による新たな形でのミサイル発射に危機感を強めている。5日に初めて3カ所以上の地点から同時発射したほか、5月25日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)と変則軌道の短距離弾道ミサイルを同時発射したのも異例だった。北朝鮮の行動は、短距離でも射程に収まる日韓と、ICBMを重視する米国の切り離しを狙った可能性もある。これに対抗するため日米韓3カ国連携を強化する姿を内外に示す考えだ。

北朝鮮のミサイル発射を受け、外務省の船越健裕アジア大洋州局長は5日、米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表、韓国の金健(キム・ゴン)朝鮮半島平和交渉本部長と電話で対応を協議した。日米韓は8日に次官級協議を行うほか、10日からシンガポールで開かれる「アジア安全保障会議」に合わせ、防衛相会談を約2年半ぶりに行う方向で調整している。

「8日に日米韓次官協議を行うなど引き続き米国、韓国とも緊密に連携しながら情報収集、警戒監視に全力をあげる」

岸田文雄首相は5日、視察先の福島県葛尾(かつらお)村で記者団にこう語った。首相が日米韓の次官級協議にわざわざ言及したのは、最近の北朝鮮によるミサイル発射は日米韓の足並みの乱れを誘う意図をうかがわせるからだ。

北朝鮮のICBMは米本土を射程に収めており、北朝鮮が韓国や日本を攻撃しても米国が「核の報復」を恐れて核使用をためらう「デカップリング(切り離し)」が生じる恐れがある。トランプ前米政権はICBMの開発中止を優先し、短距離ミサイルの発射を事実上黙認した。

日本政府内には、5月25日に北朝鮮がICBMと短距離ミサイルを同時発射したことでデカップリングの状況を意図的に作り出そうとしたとの見方がある。今月5日に3カ所以上の地点から短距離ミサイルを発射したのも、ICBMで米国を抑止しつつ、韓国や日本に対し、相手の対処能力を上回る攻撃を加えて迎撃を困難にする「飽和攻撃」を行う能力を誇示する狙いがあったとみられる。

バイデン米政権は同盟国との連携を重視し、5月の日韓両国歴訪では拡大核抑止力を強化する意向を表明した。とはいえ、北朝鮮が一連の行動でデカップリングに成功したと思えば、軍事的挑発を行う誘惑にかられかねない。首相が日米韓の結束をアピールしたのは、こうした「誤解」を打ち消すためでもある。(杉本康士、竹之内秀介)

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