北朝鮮が弾道ミサイル8発連続発射 今年17回、過去最多

北朝鮮のミサイル発射を受け、記者の取材に応じる岸田首相=5日午前、福島県葛尾村
北朝鮮のミサイル発射を受け、記者の取材に応じる岸田首相=5日午前、福島県葛尾村

北朝鮮は5日午前、首都平壌の順安(スナン)付近などから複数の短距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。韓国軍は、同日午前9時8分ごろ(日本時間同)から約35分間にわたって4地点から計8発を発射したと発表。日本政府も3カ所以上から少なくとも6発が発射されたのを探知した。

北朝鮮がこれだけ多数の弾道ミサイルを複数地点から連続発射するのは極めて異例で、日米韓のミサイル防衛網を突破する能力を誇示する狙いとみられる。日韓への脅威が一段と高まった形だ。

北朝鮮によるミサイル発射は、バイデン米大統領による日韓歴訪直後の5月25日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)と推定される1発を含む3発を発射して以来で、巡航ミサイルを含めて今年17回目。弾道ミサイルでみると、16回目で、年間15回で過去最多だった2016年を上回る異例のハイペースとなっている。

韓国軍によると、発射地点は順安のほか、北西部の東倉里(トンチャンリ)や東部の咸興(ハムフン)、内陸部の价川(ケチョン)の付近。飛距離は約110~670キロ、最高高度は25~90キロで、いずれも日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したもようだ。日本政府は、少なくとも1発の変則軌道のミサイルが含まれるとしており、変則軌道が特徴の新型短距離弾道ミサイル「KN23」や「KN24」が含まれる可能性がある。

岸田文雄首相は5日、視察先の福島県で「国際社会の平和と安定を脅かすもので、断じて許すことはできない」と非難した。日本政府は北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議した。

バイデン氏と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は5月21日の初の首脳会談で、米韓合同軍事演習の拡大方針で合意。米韓両軍は今月2~4日、沖縄沖の公海上で米原子力空母も参加した合同演習を実施した。北朝鮮による今回の発射は米韓に対抗した軍事的示威ともみられている。(杉本康士、ソウル 桜井紀雄)

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