台湾に現役防衛省職員派遣 一歩前進も残る課題 米国と格差

台湾海峡を航行する、米海軍のミサイル駆逐艦サンプソン=4月26日(米海軍太平洋艦隊提供・AP)
台湾海峡を航行する、米海軍のミサイル駆逐艦サンプソン=4月26日(米海軍太平洋艦隊提供・AP)

政府が台湾の窓口機関事務所に「現役」の防衛省職員を派遣する方針を固めたことは、日本の安全保障上、前進といえる。台湾の軍事関連情報の必要性が高まる中、これまで退職自衛官1人の駐在にとどめていたことで、現地での情報収集や政府・各自衛隊との意思疎通に不安が生じかねないと指摘されていた。

台湾初の総統直接選に中国が弾道ミサイルを発射して威嚇した1996年の台湾海峡危機を受け、日本は米国に先んじて台湾に元自衛官を派遣し情報収集を強化したが、その後の歩みは大きく異なる。

米国は日本から2年遅れの2005年、対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)の台北事務所に断交後初となる現役の陸軍大佐を派遣した。だが、現在は国防総省の文官に加え陸海空の各軍と海兵隊に属する現役の将校が多数、常駐しているほか、01年以降、新型コロナウイルス禍での中断を除き台湾の年次演習「漢光」にも現役将校の視察団を派遣。近年の台湾海峡情勢の緊迫を受け、小規模ながら地上部隊の共同訓練を実施したとも報じられる。

米国には台湾への武器供与などを定めた「台湾関係法」があり、法的根拠のない日本と単純な比較はできないが、台湾有事が起きれば日本は直接の影響を受けかねない。近年の台湾海峡の緊張を受け、台湾有事を想定した邦人退避計画の策定が必要なことは論をまたず、米国から台湾有事を想定した役割・任務分担を求められる可能性もある。

こうした観点から台湾の安全保障当局との情報交換の必要性は高まっている。その際、日本側の担当者がより現状に即した専門知識を持っていることが望ましく、文官1人の追加派遣で対応できるかには疑問が残る。現役自衛官の派遣や人員の拡充など、検討していくべき課題は多い。(田中靖人、市岡豊大)

<独自>台湾に現役防衛省職員派遣へ 今夏にも常駐 情報収集強化


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