関西、夏の予備率3・8% 電力逼迫、常態化か

再稼働のめどが立っていない関西電力高浜原発3号機(手前)=令和2年10月7日、福井県高浜町
再稼働のめどが立っていない関西電力高浜原発3号機(手前)=令和2年10月7日、福井県高浜町

関西電力子会社の関西電力送配電は3日、今夏(7~9月)の関西エリアの電力需給見通しを明らかにした。電力の需要に対する供給の余力を示す「予備率」は、7月に3カ月のうち最も厳しい3・8%となり、電力の安定供給に最低限必要な3%を辛うじて上回る見込みだ。新型コロナウイルス禍による社会経済活動の変化のほか、火力発電所の停止拡大などで需給逼迫は常態化する恐れがあり、安全性を確認した原発の早期再稼働などが求められる。

「電力需要の増加や燃料調達のリスクが顕在化しつつある。3・8%の予備率は決して楽観視できない厳しいものだ」。この日のメディア向けの説明会で、関西電力送配電給電計画グループの林利夫マネジャーは堅い表情で語った。

関西エリアの7月の予備率は3・8%で、経済産業省が4月に公表した試算の5・0%から低下した。3月から定期点検中の高浜原発3号機(福井県高浜町)の設備に損傷が見つかり、対策工事完了のめどが立たず電力供給が減少することも要因の一つ。同原発が5月中旬に予定していた再稼働は未定となっている。

関西エリアの7月の予備率の見通しは、平成30年から令和2年は5・5~9・5%で推移していたが、昨年は3・7%で今年と同様に厳しい水準だった。電力自由化で経営を効率化する必要性が高まり、運営コストがかかる火力発電所の運転停止が全国的に広がっていることから、十分な電力の融通を受けられなくなったことなどが影響しているとみられる。

さらに、新型コロナウイルス禍で在宅勤務が増えた影響で電力需要が増加。ロシアのウクライナ侵攻による燃料調達のリスクも高まっており、今後、夏も冬も、電力需給の逼迫(ひっぱく)が当たり前になる恐れがある。

3月に福島沖で起きた地震の影響で関東地方が東日本大震災以来の電力危機に陥ったように、自然災害のリスクも懸念される。

各電力会社は供給不足などに備えて、地域間で電力を相互に融通する態勢を取っている。事故などでほかの電力会社の発電所が止まれば、その会社の予備率が下がるため、関西エリアに電力を融通できないという影響が出るという。

一方、脱炭素の流れを受けて、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの導入が進むが、発電量が季節や天候に左右される不確実性があるため、電力需給の全体的なバランスへの影響は避けられそうにない。

今夏、関西電力は利用者に対し、適切な冷房利用などへの協力を呼びかける方針。関西経済を分析する入江啓彰(ひろあき)・近畿大短期大学部教授は「再生エネは太陽光パネル設置などで環境に負荷をかけ、土砂災害などにつながる恐れもある。節電にも限界があり電力需給逼迫の抜本的な解決策にならない」と指摘する。

その上で、「そもそも原発は動かそうが動かすまいがリスクがあるものだ。ブラックアウト(全域停電)を避けるため再稼働させるべきだし、それに向けた議論を本格的に行う必要がある」と話す。(井上浩平)

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