米年次報告書 ウイグル弾圧や「宗教の中国化」を非難

米国務省=ワシントン(AP)
米国務省=ワシントン(AP)

【ワシントン=大内清】米国務省は2日、世界各国の「信教の自由」に関する2021年版の年次報告書を発表した。中国政府が新疆ウイグル自治区でウイグル族などのイスラム教徒少数民族に対して行っている「ジェノサイド(集団殺害)と人道に対する罪」について、同省高官らが中国側に懸念を伝達していることなどを改めて強調。中国政府はすべての宗教の教義や風習を中国共産党の思想体系に合致させようとする「宗教の中国化」を推し進めていると非難した。

ブリンケン国務長官は同日の記者会見で、新疆では17年以降、100万人を超すウイグル族などのイスラム教徒が「反テロ」の名目で強制収容所に送られているとの推計を改めて示した上で、「中国政府は礼拝所の破壊や就業差別によってイスラム教やキリスト教などを信仰する人々への嫌がらせを続けている」と批判した。

また報告書は、国家による教育システムの独占を規定した中国の国内法により、中国国民は宗教活動に従事することや宗教教育を受けることが実質的に妨げられていると指摘。非政府組織(NGO)の報告やメディア報道などから、中国政府は宗教関係者に対して弾圧や虐待、共産党の思想の強制などを行っているのは明白だとし、「宗教管理を継続し、国家や共産党の利益への脅威とみなす宗教活動や信仰の自由を制限し続けている」と強調した。

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