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受診を促す「オンライン診療」

「ルナルナオフィス」は婦人科医によるオンライン診療が受けられる(丸紅提供)
「ルナルナオフィス」は婦人科医によるオンライン診療が受けられる(丸紅提供)

企業の「福利厚生」にもフェムテックが浸透し始めている。大手商社の丸紅が、カラダメディカやエムティーアイなどヘルスケア関連企業と共同で始めた、法人向け女性の健康支援サービス「ルナルナ オフィス」は、JALやコニカミノルタなど大手企業が導入し、話題となった。

生理、妊活、更年期に関する全社員向けセミナー▽女性従業員が勤務の合間や自宅から受診できるオンライン診療・相談システム▽漢方薬や低用量ピルなどの服薬指導と処方▽サービス導入後の生活の質や業務パフォーマンス向上などの検証・報告-。これら4本柱で構成される。

費用は全額導入企業が負担するため、女性従業員の婦人科受診を促すことが期待される。

開発した丸紅は、社内でもサービスを導入して実証実験を行った。女性従業員への聞き取り調査では「生理に伴う症状で眠気が強くなり、決算業務と重なったときにはつらすぎてトイレで仮眠した」といった声も寄せられた。「女性たちが課題を抱えながら仕事をしている実態が浮き彫りになった」と開発担当者は語る。

同社の池田瑛美(えみ)さん(28)も重い生理痛に悩んできた一人だ。

「生理のときは寝込むことも多かったが、生理痛で受診していいのか分からず、婦人科を避けてきた」

サービス導入を機に初めて婦人科医に相談できたといい、今は処方された低用量ピルを服薬中だ。「生理のために会社を休むことがなくなった」と効果を実感しているという。

数年前から体のほてりなどの更年期症状を抱えていた國井身智代さん(51)も仕事が忙しく、婦人科には行かずに市販薬を飲むなどして対処してきた。

「婦人科は待ち時間が長く、仕事を休まなければいけないのがネックだった。オンライン診療は自分の都合のいい時間を選べるので助かる」と利点を挙げる。

サービスが導入されるまで、更年期にネガティブなイメージを抱いていたが「当たり前のものと捉え、オープンに語れるようになった」と國井さん。自身の心境だけでなく、周囲の変化も感じていると語る。

「受診の予約日、デスクで仕事をしていると、男性上司から『そろそろ診察の時間じゃない?』と声をかけてくれるようになった。職場に理解があるので、これからも安心して、受診を続けられそうです」

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