がん電話相談から

不正出血 経過観察か全摘出か

がん研有明病院婦人科の瀧澤憲医師
がん研有明病院婦人科の瀧澤憲医師

Q 65歳女性です。閉経後14年が経過しましたが、今年3月に不正出血があり、近くの婦人科で子宮頸部(けいぶ)と体部の細胞診を受けました。結果は「陰性(がんの心配なし)」でしたが、出血が続くため、がんセンターを紹介されました。

再度、子宮内膜細胞診、子宮内膜審査切除(膣(ちつ)から金属製の細い器具、鋭匙(えいひ)を挿入し子宮体部粘膜を搔爬(そうは)して組織を採取する検査。中程度以下の痛みがあるため座薬タイプの鎮痛剤を使用)を行いましたが、がんと認識できません。経膣超音波検査とMRIによる画像検査を受けたところ、子宮内膜が10ミリに肥厚していることが分かりました。やはり子宮体がんでしょうか。

A 閉経後の不正出血なので、患者さんも医師も子宮体がんを想定して検査をします。外来受診による子宮内膜審査切除では陰性ということでしたが、子宮内膜の肥厚がありますから、短期入院で子宮内膜全面搔爬術を行います。

通常は静脈麻酔下で、子宮頸管を拡張して、より太い金属製の鋭匙を挿入して子宮内腔(ないくう)全面を搔爬します。これでもがんが子宮卵管角(子宮体部と卵管の移行部)にあったり、微小がんだったりすると、がんを認識できないことはあります。手術時に採取した組織診で陰性の場合、細胞診でもがんが陰性なら経過観察になります。

Q 子宮内膜が肥厚しているので、がんの可能性が高いといわれました。

A 閉経後に卵巣からの女性ホルモン(エストロゲンなど)の分泌がほぼなくなると、子宮内腔の容積は縮小します。子宮内膜細胞も萎縮して分泌物も著しく減ってしまうため、画像検査でも、子宮内腔がほぼ線状に見えます。

子宮頸管や体部の内膜に炎症(多くは感染の結果)が起きると子宮頸管が狭窄(きょうさく)・閉鎖してしまい、子宮内腔に分泌液がたまって、逆に子宮内腔が拡張する「液体貯留」の状態になります。

今回のように子宮内膜が肥厚している場合は、腫瘍性変化(たとえば子宮内膜がん)の始まりと考えるのが通常です。しかし、細胞診や組織診を重ねてもがんが認識できない場合、がん以外の原因も考えます。

採血して、エストロゲン値が高い場合には異所性ホルモン分泌(本来、その臓器では生成しないホルモンを分泌する疾患)と考えて胃がん、卵巣がん、副腎腫瘍などをはじめとする全身の検査が必要です。

エストロゲン値が正常の場合には、患者さんの閉経後の薬やサプリメントの服用履歴、特殊な食事療法の有無などを問診します。本人が無自覚なまま、女性ホルモン類似物質を摂取している可能性を検討します。

Q 経過観察か子宮全摘術かを選ぶよう医師に求められ迷っています。

A 子宮内膜全面搔爬術でがんが陰性の場合でも、子宮内膜細胞診で悪性あるいは悪性の疑いが強い場合は、特殊な子宮体がん(低分化類内膜がん、漿液性(しょうえきせい)腺がんなど)や卵管・卵巣由来のがん細胞の子宮内腔への逆流などが考えられます。

その場合には、内性器(子宮・卵巣・卵管)全摘を含むがん根治手術の準備をして手術を急ぐことがあります。ただ、相談者さんの現状では、それには当てはまらないと思います。

回答は、がん研有明病院の瀧澤憲医師(婦人科前部長)が担当しました。

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