ウクライナ「ヘルソンで前進に成功」 露側は来年にも編入準備か

砲撃で破壊されたウクライナ東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクの建物=29日(タス=共同)
砲撃で破壊されたウクライナ東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクの建物=29日(タス=共同)

ロシアによるウクライナ侵攻で、露軍に占領されている南部ヘルソン州のフラニ顧問は29日、同州の一部でウクライナ軍が反攻作戦を行い、前進に成功したと発表した。一方、ロシアの指導下にある同州暫定当局の幹部は、同州のロシア編入の是非を問う「住民投票」が来年にも行われる可能性があると述べた。東部ではルガンスク州の中心都市セベロドネツクをめぐり激しい戦闘が続いた。

ヘルソン州はロシアが2014年に併合した南部クリミア半島の付け根に位置し、併合前はクリミアに水を供給してきた。ロシアはクリミア支配を強化するために同州を実効支配下に置く構えだが、ウクライナ側はヘルソンやクリミアの奪還に向けた反攻作戦を行うと表明。東部に加え、同州をめぐる攻防が今後、激化する可能性がある。

フラニ氏はSNS(交流サイト)上で、同州ベリスラフでウクライナ軍が露軍を9キロ後退させたと発表。同州では反露パルチザン(抵抗勢力)による武力闘争が活発化しているとも指摘した。

一方、ロイター通信によると、同州暫定当局幹部のストレモウソフ氏は28日、戦闘が続いている段階で露編入手続きを進めるのは困難だとの認識を表明。「行政機構を整えた上で、来年にも住民投票を行う可能性がある」などと述べた。

同氏は11日、同州の請願という形で露編入を求める方針を発表。これに対し、ペスコフ露大統領報道官は「法的根拠が必要だ」と述べ、住民投票などが必要だとの認識を示していた。

その一方でロシアは同州の「同化政策」を本格化。プーチン大統領は25日、同州住民への露国籍付与を簡素化する大統領令に署名したほか、今月下旬には露通貨ルーブルの流通も開始された。

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