5月21日にソウルで行われたバイデン大統領と尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の米韓首脳会談共同声明で「台湾問題」が触れられ注目された。声明は南シナ海など海洋の航海の自由に言及した後、「両首脳はインド太平洋地域の安全保障および繁栄の核心要素として、台湾海峡における平和と安定維持の重要性を強調した」としている。
ただ、米韓の公式外交文書に「台湾」が登場したのはこれが初めてではない。文在寅(ムン・ジェイン)政権下の昨年5月、ワシントンでの米韓首脳会談の共同声明に同様の文言が盛り込まれたのが初めてで、その後、年末のソウルでの米韓国防相による安保協議(SCM)の共同声明にも登場している。
インド太平洋戦略を重視するバイデン政権が、韓国に対し〝台湾重視〟を説得しているという図式だが、これまで台湾問題に対する韓国の関心、配慮はきわめて低かった。理由はひとえに中国への気兼ねからだ。たとえば文政権は前記のSCMの後、政府機関が新産業関連のオンライン講演に招いた台湾の要人の招待を突然、中止し台湾から抗議されている。