最近、ロシアによる侵略が続くウクライナの隣国ポーランドを訪れた。同国建国の父、ユゼフ・ピウスツキは日露戦争中の1904年、日本を訪れ、ロシアからの独立支援を求めた。日露戦争でロシア帝国の支配が弱まり、欧州の秩序も変わると認識していたのだ。ポーランドは第一次大戦後に独立し、ピウスツキは初代国家元首となった。
折しも今月前半、ロシアに隣接するフィンランドのマリン首相が来日し、同国の北大西洋条約機構(NATO)加盟申請の見通しを伝えた。日本は支持した。その状況が100年以上前の歴史と重なって映った。欧州とアジアの安全保障は連動しているのだ。
日本では12日に日本と欧州連合(EU)、23~24日には日米、日米豪印「クアッド」の首脳会談・会合が開かれた。ウクライナ戦争の最中、いずれの声明にも「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の重要性が明記された。権威主義体制の中露が連携を深める今、岸田文雄政権はアジアへの影響を念頭に、ロシアのウクライナ侵略を「国際秩序の根幹を揺るがす」との言葉で厳しく非難している。