大阪府の吉村洋文知事は30日の府議会本会議で、選択的夫婦別姓について「選択権が認められるべきだ」と述べ、賛成の立場を示した。旧姓に法的効力を与えるのも実質的な選択的夫婦別姓として「一定の有効な考え方だ」と評価。国政での幅広い議論を呼びかけた。西野修平府議(自民)の質問に答えた。
吉村氏は、子供の姓の決め方に関しても、事前の制度設計で当事者間の混乱を回避できるため、選択的夫婦別姓導入への支障はないと強調した。
西野氏は続いて、夫婦と子供が一つの戸籍に入る現行の戸籍制度に言及。選択的夫婦別姓の導入により「制度の廃止議論に発展する可能性がある」と警鐘を鳴らしたが、吉村氏は「制度が必要ないとは考えていない」と述べるにとどめた。
選択的夫婦別姓を巡っては、府議会で令和元年10月、法制化に向けた議論の促進を政府に求める意見書を賛成多数で可決。意見書は、平成30年2月に公表された内閣府の世論調査結果を引用したが、42・5%の賛成とともに「現行の夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用の法制度を創設すべき」と回答した24・4%を「条件付きの賛成」と解釈していた。
西野氏はこの日の質疑で「設問の趣旨を踏まえても正確ではなく、(24・4%は)反対にとらえるべきだ。あたかも賛成多数のように歪曲(わいきょく)されている」と指摘した。