フランス南部で開催されていた世界三大映画祭の一つ、第75回カンヌ国際映画祭の授賞式が28日夜(日本時間29日未明)開かれ、コンペティション部門に出品された是枝裕和監督(59)の韓国映画「ベイビー・ブローカー」に主演したソン・ガンホさん(55)が男優賞を受賞した。
ソンさんは受賞スピーチで「偉大な芸術家である是枝監督に感謝します。一緒に頑張ってくれた俳優たちと分かち合いたい。多くの映画ファンにこの栄光を差し上げます」と述べた。最高賞「パルムドール」にはスウェーデンのリューベン・オストルンド監督の「トライアングル・オブ・サッドネス」が輝いた。
「ベイビー・ブローカー」は、親が育てられない子を匿名で預ける「赤ちゃんポスト」を巡り、赤ん坊を売ろうとする男(ソンさん)とその相棒、赤ん坊の母親らの旅路を描く。日本では6月24日に公開される。
是枝監督と抱き合い笑顔
審査員が名前を読み上げると、ソン・ガンホさんは是枝裕和監督と抱き合って笑顔を見せた。ステージ上ではイ・ジウンさんら共演陣の名前を挙げて感謝を口にし、「この光栄を分かち合いたい」と話すと、会場が拍手で包まれた。
「是枝監督は韓国文化をよく知っている。理解し合うのにあまり困難はなかった」。授賞式後の記者会見で、製作を振り返ったソンさん。是枝監督が取り組む「家族」というテーマに触れ「あまりにリアルに描き、ぞっとするようなこともある。だからこそ監督の映画を見た後、私たちは考えさせられる」と評した。
是枝監督も日本の報道陣の取材に応じ、「男優賞はこの作品の最高の美しいゴール。韓国でも盛り上がっているはず」と柔らかな表情。「ソンさんがムードメーカーでチームリーダーだったので、評価されて何よりです」と喜んだ。(共同)