主張

かかりつけ医 機能発揮できる制度化を

新型コロナウイルス禍ではっきりしたことの一つに、かかりつけ医がうまく機能していないという問題がある。

発熱してもかかりつけ医が診てくれず、発熱外来がどこにあるか分からない。なじみの診療所でワクチンを受けようとすると、「かかりつけ患者は月に1回以上診察に来る人だ」と断られた人もいる。

本来、発熱やワクチン接種などに広く対応するのが、かかりつけ医だ。ところがコロナ対応ではそうならず多くの人が困惑した。

政府の全世代型社会保障構築会議が先の中間整理で「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」を促したのは当然である。

例えば発熱外来や訪問診療の実績がある診療所を地域の「重点かかりつけ医」に指定し、非常時の安全網として機能させてはどうだろう。同会議には、こうした具体案を早急に示してもらいたい。

中間整理は、コロナ禍でかかりつけ医機能が十分に作動せず、総合病院などに大きな負荷がかかったとも指摘した。これが病床逼迫(ひっぱく)の背景にあることを政府と関係者は重く受け止めるべきだ。

首をかしげるのは、かかりつけ医の制度化を認められないとする日本医師会の考えである。患者との信頼関係で成り立つかかりつけ医を制度で縛ることへの警戒感があるのか。だが、制度化すれば信頼関係が損なわれるというものではない。何を懸念しているのか丁寧に説明すべきである。

大切なことは患者の安心感である。感染拡大時に病床が逼迫して自宅療養患者があふれたのに、訪問診療医がいなかった地域もあった。こんな状況では平時であっても住民の健康を守れない。

医療機関の役割分担や適正配置は、国と都道府県の「地域医療構想」で議論されている。だが、かかりつけ医の対象となるような診療所については、ほとんど議論されてこなかった。「重点かかりつけ医」のような制度を導入するならば、ある程度の適正配置も視野に入れて考えるべきだろう。

英国などでは患者があらかじめ特定のかかりつけ医を登録し、そこを経由しないと専門医や病院にかかれない。だが、拙速に登録制を敷いて受診できる診療所を限定するのは、患者の納得感を得られまい。まずは地域全体で機能する基盤を整え、患者の安心感を取り戻すべきである。

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