ビール「値上げの秋」に 酒類販売回復に逆風懸念

コンビニエンスストアのビール売り場(松本健吾撮影)
コンビニエンスストアのビール売り場(松本健吾撮影)

ビールに値上げの動きが広がっている。大手4社ではアサヒビール、キリンビール、サントリーホールディングスがすでに10月からの値上げを公表、残るサッポロビールも近く値上げを発表予定としている。家庭用ビールの値上げは平成20年以来、約14年ぶり。気温の上がる夏はビール類の販売が伸びることから、各社は価格改定時期を秋としているが、相次ぐ値上げは新型コロナウイルス禍で落ち込んだ酒類販売の回復に水を差す懸念もある。

値上げの背景には大麦やトウモロコシなどの原材料価格の高騰に加え、原油高に伴う物流費の上昇があり、ビール大手の関係者は「価格改定に踏み切らざるを得ない状況だ」と話す。

各社が値上げするのは卸売価格で、小売店が決める店頭価格は数十円程度上がると想定される。アサヒの値上げは計162商品が対象。主力の「スーパードライ」を含むビール類が店頭価格で6~10%、「贅沢(ぜいたく)搾り」などの缶酎ハイが6~9%上がると見込む。キリンは「一番搾り」などのビール類、「氷結(ひょうけつ)」などの缶酎ハイ、ノンアルコール飲料が6~13%上昇すると想定。サントリーは「ザ・プレミアム・モルツ」を含むビール類が6~10%、「こだわり酒場のレモンサワー」など缶酎ハイが2~6%上昇するとみている。

最近の物価高の影響で家計の防衛意識が高まる中、各社の値上げは消費者の商品選びに影響する見込み。このため、主力ブランドなど大部分の商品を値上げする一方、あえて価格改定を見送る商品もある。キリンは昨年発売したクラフトビール(地ビール)など一部の高価格帯商品は価格を据え置く。各社の主力ブランドの値上げで価格差が縮まり、新たな顧客獲得につながるとの思惑がありそうだ。

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