防衛省、戦略的発信を強化「近日中にミサイル」

防衛省庁舎
防衛省庁舎

防衛省が情報を積極的に発信し、自国に有利な環境をつくる「戦略的コミュニケーション」に本格的に乗り出している。北朝鮮が25日に発射した弾道ミサイルについて、岸信夫防衛相は5日前に「近日中に可能性がある」と説明し、これまでの慎重姿勢から一転した。防衛省は昨年8月ごろから部局横断型のチームで情報発信を強化。今回の発信の効果などを分析し、精度を上げたい考えだ。

「近日中に長射程の弾道ミサイル発射を含め、北朝鮮がさらなる挑発行動に出る可能性がある」。岸氏は20日の記者会見でこう言及した。核実験については7日に「早ければ今月中にも準備が整う可能性はある」とも述べていた。

戦略的コミュニケーションで先行する米国は、ロシアによるウクライナ侵攻で政府高官らが侵攻開始時期などの情報を頻繁に発信。ロシアの偽情報を事前に打ち消して抑止を図るなど積極的な情報戦を展開した。

日本でも、平成30年策定の防衛計画の大綱で「自衛隊の部隊による活動を含む戦略的なコミュニケーションを外交と一体となって推進する」と明記し、防衛省は部局横断型のチームを設置していた。

同省は昨年8月、英国海軍空母「クイーン・エリザベス」など空母打撃群が寄港した際に行った日米英蘭共同訓練の内容について、交流サイト(SNS)上で中国語と韓国語で発信し、取り組みを始めた。当時は中国と北朝鮮を念頭に日米英などの結束をアピールする狙いを込めた。

ただ、内部情報の公表は手の内を明かすことで情報が得にくくなるリスクもあり、これまで慎重姿勢だった。現状では米国の発信に追随している感も否めず、「始めたばかりで試行錯誤の段階」(同省幹部)だ。同省は発信に対する相手国の受け止め方を分析し、今後の内容について検討を加えていく方針だ。

会員限定記事会員サービス詳細