ロシアによるウクライナ侵攻で、ウクライナ軍参謀本部は28日、東部ルガンスク州でウクライナ軍の事実上の最終拠点となっているセベロドネツクの制圧を図った露軍を撃退したと発表した。ただ、ウクライナメディアは、露軍に同日までに占拠された同市郊外のホテルの奪還には成功していないと伝えるなど、同市をめぐる激しい攻防が続いているもようだ。
一方、プーチン露大統領は同日、契約軍人が最初に契約を結ぶ際の年齢上限を撤廃する法改正に署名し、成立させた。従来は露国民は18~40歳、外国人は18~30歳までとされていた。
法案を提出した露下院議員は法改正の目的について、医療や工学、通信分野などで熟練した専門家を確保するためだとしたが、実際は侵攻で損害が拡大している露軍の兵力を補充する狙いだとする見方が強い。
プーチン氏は同日、フランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相と電話会談を行った。露大統領府によると、プーチン氏は両氏に「米欧からウクライナへの軍事支援がさらなる情勢の不安定化と人道危機の悪化を招く」と警告。侵攻で穀物価格が高騰し、世界的な食糧危機が危惧されていることについても「米欧側の誤った経済・金融政策と対露制裁が主な要因だ」と一方的に主張した。
他方でプーチン氏は「ロシアはウクライナが黒海から穀物を輸出できる方策を検討する準備がある」とも述べたが、対露制裁の解除が条件だとした。