政府が6月上旬に策定する経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込むスタートアップ(新興企業)支援の概要が29日までに判明した。米国などの大学を誘致してスタートアップ創出を支援する拠点を整備することが柱。また、資金調達環境の改善へ国内外のベンチャーキャピタル(VC)への資金流入を促す取り組みや、例がないアイデアや技術を持つ人材の支援策の抜本的な拡充のほか、政府内に支援推進の司令塔となる新組織を設置することも盛り込む。
「スタートアップキャンパス」と呼ぶ新たな支援拠点は、起業家の育成や新興企業の支援の知見がある欧米の大学や企業などを誘致し、産学官が連携してスタートアップ支援を強化する施設として設立を目指す。
支援拠点については、岸田文雄首相とバイデン米大統領による23日の日米首脳会談の成果文書にも盛り込まれており、政府は米国とスタートアップ創出の協力関係を深める。
また、スタートアップの資金調達環境の改善に向けて年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの長期運用資金がVCやスタートアップに循環する流れの形成に取り組むほか、個人保証や不動産担保ではなく、新規事業全体を担保とした資金調達を可能とする仕組みも整備。新規株式公開(IPO)方法の見直しも検討する。さらに、副業や兼業の促進により大企業で働く人材がスタートアップでも働きやすくするなど人材の流動化も進める。
スタートアップ支援は岸田首相の肝いり政策で「若者が躊躇(ちゅうちょ)なく飛び込んでいける環境を整備する」と明言しており、政府内に新組織を設けて骨太方針に盛り込んだ支援の具体化を推進する方針。新組織は内閣府か内閣官房内に設置する方向で調整が進む見通し。