28日まで6日間の日程で行われたバチェレ国連人権高等弁務官の新疆(しんきょう)ウイグル自治区訪問に、人権活動家などは早くも厳しい目を向ける。同自治区への訪問を「調査ではない」とする中国側の意向に同調するようなバチェレ氏の発言が報じられ、実効性への疑念が強まったためだ。中国側は、強権的な少数民族政策を正当化すべくプロパガンダを積極化させるとみられる。
ウイグル族人権問題で国連高官訪中も「調査なき視察」 記者同行はなし
「強い姿勢」見られず
国連人権高等弁務官事務所は、バチェレ氏の訪中について「中国と世界における人権の向上に向けた協力に役立つことを望む」と主張している。バチェレ氏は習近平国家主席と25日にオンライン会談し、同事務所は「中国や世界における人権問題や懸念について直接協議できる貴重なものだった」と成果を強調した。
しかし、人権状況を改善するために必要な同自治区での実態把握は「困難」(人権活動家)とみられている。さらに、中国の人権侵害を独立した立場で調査する強い姿勢がバチェレ氏から見られないことに、懸念は高まっている。