「上海脱出」も コロナで都市封鎖2カ月、長期化に市民疲弊

高速鉄道の駅で乗車を待つ人たち=22日、中国上海市(共同)
高速鉄道の駅で乗車を待つ人たち=22日、中国上海市(共同)

【北京=三塚聖平】中国上海市は28日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてロックダウン(都市封鎖)を始めてから2カ月を迎えた。4月中旬に連日2万人超だった1日あたりの感染者数は、現在数百人台にまで減っており、当局は6月中の正常化を目指す。長期化した不自由な生活に不満を募らせる市民らの「上海脱出」も伝えられるが、習近平国家主席は感染拡大を徹底的に押さえ込む「ゼロコロナ」政策を堅持する方針だ。

国家衛生健康委員会は28日、上海で新たに確認された27日の感染者は、空港検疫などを除き170人(無症状を含む)だったと発表した。感染者数は減少傾向にあり、市当局は外出許可の対象地域を拡大。全人口(約2500万人)の9割にあたる約2200万人が外出可能になったという。

ただ、外出が許されるといっても「1世帯1人、1回数時間」などの制限付きで、居住区の判断で不許可となるケースも交流サイト(SNS)で明かされている。上海市長寧区の専業主婦(42)は「最近は1日に3時間ほど外出できるようになった。封鎖当初は気が塞ぎ、いらだったが、今は慣れた」と話す。

上海市は今月16日、6月中に「全市の正常な生産、生活秩序を全面的に回復させる」と表明。同日からは商業施設などの再開を認めているが、従業員が出勤できないため営業できない店舗が多いという。上海の日系企業社員は「正常化が順調に進むかどうかを慎重に見ている」と話す。封鎖前の状況に完全に戻るにはかなりの時間を必要とするとの見方が支配的だ。

上海市当局は当初、市内を東西2地域に分けて3月28日から4月5日まで順次封鎖する計画だったが、新規感染者数が高止まりしたために長期化した。

不便な生活がまだ続くことを懸念し、今月中旬から移動制限が緩和されたのを機に上海を離れる人も相次いでいる。SNSでは、上海の高速鉄道駅で多数の旅客が行列を作っている様子や、上海を離れる切符が高値で転売されているという投稿が目立つ。

上海封鎖により工場の稼働停止や物流の混乱も深刻化しており、中国市場からの撤退や投資計画の見直しを検討する外資企業も増えているとされるが、習氏は今月5日に「わが国の防疫政策に対する歪曲(わいきょく)、懐疑、否定のあらゆる言動と断固として闘争しなければならない」と強調している。

上海市普陀区の会社員女性(37)は、ゼロコロナ政策について「完全にやめてしまえば医療逼迫(ひっぱく)などのリスクがあるが、実情を無視して画一的な措置を進めれば、多くの人が失業や破産に直面する」と懸念を示した。

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