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もったいない『ちむどんどん』

5月15日、沖縄が日本に復帰してから50年の節目を迎えた。NHKの力の入れようは相当なもので、「つなぐ未来へ」をキャッチコピーにした特設サイトをつくり、関連するさまざまな番組を放送した。

八重山諸島の小浜島で育ったヒロイン(国仲涼子さん)が登場する平成13年の連続テレビ小説『ちゅらさん』総集編の再放送では、今や〝怪優〟の域に達した感のある山田孝之さんが弟役で出演。あどけない表情と初々しい演技が印象的だった。恋人役の小橋賢児さんはその後、クリエーティブディレクターの道に進み、昨年9月の東京パラリンピック閉会式で、総合演出を担当。俳優時代とのギャップに、歳月を感じる。ちなみに、小橋さんは令和7年の大阪・関西万博でも催事企画プロデューサーを務めることになっている。

『証言ドキュメント 〝沖縄返還史〟』『ドキュメント72時間 沖縄 今日も〝ゆんたく〟市場で』といった多様な関連番組の中で、興味深く視聴したのは、22日に放送されたNHKスペシャル『OKINAWA ジャーニー・オブ・ソウル』だった。ミュージシャンらへのインタビューを通し、なぜ沖縄発祥の音楽が日本中で受け入れられるようになったのかを時代背景も含めて丁寧に説明していた。「ネーネーズ」をプロデュースした沖縄民謡の大御所、知名定男さんが発した「新しいものづくりをするときに、古いものを理解しないと新しいものが生まれるわけはないと思うようになった」との言葉は、音楽以外の世界にも共通しているのではないだろうか。

ただし、種々の番組の底流に「沖縄=貧しい=かわいそう」と決めつける図式が見え隠れしていたのは、いただけない。現在放送されている連続テレビ小説『ちむどんどん』も沖縄で育ったヒロインと家族の物語だが、返済のあてもないのに借金を重ねる一家の金銭感覚などを疑問視する声がネット上にあふれている。個人的には楽しく視聴しているが、うなずける指摘もある。「貧しさ」を前面に出す必要があったのだろうか。もったいない。(信)

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