ウクライナ侵略戦争への対応に続き、国連安全保障理事会の無力がまたあらわになった。北朝鮮をめぐる2017年12月の安保理制裁決議は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)が発射された場合、北朝鮮への原油輸出をさらに制限すると明記している。それにもかかわらず中国とロシアが拒否権を行使するという一貫性のない対応は、安保理への信頼を大きく損なった。
「過剰な拒否権行使で何のための安保理かと問わずにいられない」。日本の石兼公博国連大使は中露へのいらだちを隠さなかった。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は会合後、日米韓を代表して意見を述べ、中露の拒否権行使は「(平和への脅威に強制措置で対処する)国連の集団安全保障(機能)を傷つけた」と断言した。
国連外交筋は「北朝鮮に宥和的だった韓国が政権交代を機に厳しい態度をとるようになり、米国を軸に連携が進んでいる」と話す。