主張

WHOの台湾排除 感染対策に空白域作るな

スイスのジュネーブで開催中の世界保健機関(WHO)総会に、今年も台湾のオブザーバー参加が認められなかった。蔡英文政権の発足を受けた中国の反発によるもので、台湾の排除は2017年以降6年連続だ。

新型コロナウイルスによる感染症は終息していない。変異を繰り返す新型コロナにどう向き合うかは、今も国際社会が結束し、英知を結集すべき重要課題である。

感染症に国境や地域の壁は存在しない。WHOにおける中国の多数派工作に屈し、保健衛生上の問題で空白域を作る愚挙は看過できず、認められない。

ブリンケン米国務長官は総会に台湾を招き、台湾の専門知識を議論に生かすよう「強く主張する」との声明を発表していた。

台湾のコロナ対応や民主的な統治を評価し「台湾を除外することは正当化できない」とも訴えた。全くその通りで、排除する理由はどこにもない。

台湾の新規感染者数は高い水準にあるが、蔡政権は「ウイルスとの共存」を打ち出して防疫措置の緩和を進め、社会経済活動との両立に向けた歩みを進めている。

日本を含む国際社会が制限緩和にかじを切り、「ウィズコロナ」時代の社会の在り方を模索する中で、台湾の知見を共有する必要性は極めて高い。

中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官はブリンケン氏の声明に対し「断固とした反対」を表明し、「WHO総会を口実にして台湾に関する問題を騒ぎ立てるのをやめるべきだ」と反発した。だが、騒ぎ立てているのは中国である。

新型コロナの蔓延(まんえん)、拡大を初動で防げず、世界をパンデミック(世界的大流行)に陥れた責任には頰かむりし、自国の独善的な主張のみを声高に叫ぶ姿は見苦しくさえある。

台湾と外交関係があるなどの13カ国は連名で総会に、台湾の参加を求める要望書を提出した。欧米を中心に三十数カ国の1500人超の国会議員も、参加を求める書簡を送った。国際社会に広がる声を無視し続けるWHOは、自身の存在理由を見誤っていないか。

総会では、テドロス事務局長の再選が決まった。任期は8月16日から5年間で、2期目に入る。中国の影響下にあると批判されてきた人物の続投を許した国際社会にも反省を求めたい。

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