G7、脱ロシア依存へ協調優先 日本孤立化には懸念

G7気候・エネルギー・環境相会合後の記者会見に出席した細田健一経済産業副大臣(左)と大岡敏孝環境副大臣=27日、ベルリン(中継映像から・共同)
G7気候・エネルギー・環境相会合後の記者会見に出席した細田健一経済産業副大臣(左)と大岡敏孝環境副大臣=27日、ベルリン(中継映像から・共同)

27日閉幕した先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合は、焦点となっていた石炭火力発電を段階的に廃止する年限を共同声明に明記しなかった。各国は期限明示に賛同したが、日本のみが反対。エネルギー調達の脱ロシア依存に向けたG7は協調の明示を優先して日本に配慮した。来年のG7で日本は議長国を務めるが、脱石炭への取り組みで各国との隔たりが鮮明となったことで孤立化も懸念される。

「電力の安定的供給には石炭が重要である日本の事情を盛り込んだ共同声明になってほしい」。山口壮(つよし)環境相は27日の閣議後会見でこう述べ、改めて日本における石炭火力の重要性を強調した。

政府が昨年10月に閣議決定したエネルギー基本計画では、2030(令和12)年度の総発電量の19%を石炭火力で賄う想定だが、日本以外のG7各国は30年にもゼロにする見通しを示しており、日本への脱石炭圧力は強まっている。

日本は発電効率の向上に加え、水素やアンモニアと混焼する先端技術を活用しながら石炭火力が排出する二酸化炭素(CO2)の大幅削減を目指すことで、こうした圧力をかわしたい考えを主張している。

だが、CO2削減に向けて政府が期待するアンモニアの混焼技術はまだ実証実験の段階で、想定通りに実用化できるか見通せない。

また、浅い海底面や平地の少ない日本は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーが高コストになりやすい。調査会社ブルームバーグNEFは、日本で新設する再エネの発電コストが既存の石炭火力を下回るのは40年代後半と予測。みずほリサーチ&テクノロジーズの諏訪健太エコノミストは「足元の電力不足も考慮すれば、脱石炭は現実的でない」と分析する。

脱炭素化を促す政策のための資金調達手段として、政府は今月「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債(仮称)」の発行方針を明示。規模は20兆円と脱炭素化の加速に向けた本気度を示した。

「原発再稼働も含め、脱炭素に着実に寄与する現実的な投資を急ぐべきだ」(経済団体幹部)との産業界の要望も踏まえ、政府は投資の具体策を示しG7各国の理解を得たい考えだ。(西村利也)

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